現象の「要素」「要因」「背景」から卒論の切り口を探すフォーマット
大喜利の定番お題「○○とかけて◇◇と解く、その心は□□□」という謎かけ。
その評価は「なるほど、そう来たか」と思わせる意外性。
面白いつながり、ユニークな関係性を披露できた人ほど座布団が増えて行きます。
実は、卒論の優劣にも似たところがあります。
例えば、リンゴが落ちる“現象”を見て「万有引力の法則」へつなげたニュートンのエピソード。
これをアイザック亭ニュートン師匠が語れば、「落ちるリンゴとかけて、地球を周る月と説く、
その心は、どちらも万有引力が働いております」となりそうです。
「リンゴが落ちた」という現象を⇒「月が地球を周る」という現象につなげたニュートンの説。
当時の人たちにすれば、二つの現象がつながっているなんて意外であり不思議なことです。
しかも、ニュートンは「リンゴが落ちたのではなく、地球が引っ張った」という驚くべき「万有引力の法則」論を展開した。
地動説が当たり前の時代、まさに、座布団千枚に値するくらいの自論を世に発したわけです。
もちろんニュートンは自然科学ですから、その立場・観点から「リンゴが落ちた」という現象を⇒「万有引力の法則」論へとつなげました。
ではニュートンが、もしリンゴ農家の立場・観点で論文を発表したらどうなったでしょう。
「リンゴが落ちた」という現象を⇒「収穫のタイミング見極めの法則」なんていう研究論につなげたかもしれません。
つまり論文とは、ある「現象(=リンゴが落ちた)」をそれぞれ異なる立場・観点・角度からとらえ、
比較し検証し、そこで得られた知見をまとめたもの。
そして、卒論の優劣は、初動の「現象の見立てと自論への展開」のユニークさで決まる。
というわけで大喜利の優劣によく似ているのです。
「現象」をどう見立て、どんな自論につなげたか、に対する応えが卒論のテーマ設定であり、切り口です。
卒論の優劣は、このテーマ設定の切り口の面白さ=斬新さに大きく依存しますから、
まずはどんな現象に着目するか。目を付けるかが問われます。
でも、現象といわれてもピンと来ない。多すぎてどこに着目すればいいのかわからない。
というあなた、まずは現象を二つに分けて考えてみましょう。
一つは、月が地球を周る、雲の形が変化するなどの「自然現象」。
もう一つは、アイドルやコスプレ目当ての外国人旅行者が増えたといった「社会現象」です。
基本的にはこの二種類に大別されますが、ちょっと話題になった変わり種の卒論もあります。
「幽霊現象」に着目した卒論です。
もちろん、幽霊がいるいない論ではありません。
「幽霊現象」を切り口に、被災地やそこに生きる人たち、亡くなった人たちと、どう向き合っていくかを
社会学的な立場から取材・考察した論文です。
東北学院大の工藤優花さんによる「死者たちが通う街—タクシードライバーの幽霊現象」と題した卒論がそれ。
さらに「呼び覚まされる霊性の震災学」(金菱清ゼミナール編・新曜社)なる著書も出版され、話題になっています。
「幽霊現象」という斬新すぎる切り口はともかくとして、「自然現象」「社会現象」のどちらかを選んだら、
中からあなたが気になる個別の現象(異常気象とか地震とか)をいくつか拾い出します。
ただ、拾い出しすだけで漠然と眺めていても、なかなか良い切り口は見えてきません。
では、どうするか。ここからが切り口探しの本題です。
まずは、「現象」を分解・分類してみるのをお勧めします。
何事も「分ければわかる」、「分けなきゃ見えない」からです。
では、どのように分けるのか。
ここでフォーマットの例題・事例を参照してください。
まずは、現象をもたらした「要素」「要因」「背景」の3つのカテゴリーごとに、
事実も推測、学説やうわさも含め、考えられる全てを一つひとつ列挙します。
その列挙した項目がフォーマットにある「トピックス」です。
(例題では「異常気象」の要素①~⑤、要因①~⑤、背景①~⑤の計15のトピックスを抽出)
考えられる限りのトピックスをフォーマットに書き出したら、
次に「この線で行こう!」と思えるトピックスを選びます。つまり論じる切り口を絞り込む。
さらにそれを、どんな立場・観点・角度から、どんな結論に向かって論じるのかを明らかにする。
これでテーマ設定はほぼ完了です!
では、実際に「卒論テーマの切り口を探すフォーマット」を使ってみましょう。
ちなみに、本フォーマットの例題では、自然現象として「異常気象」を、
社会現象として「ボカロ・アイドル初音ミクの大モテ現象」を取り上げてみました。
ここの事例にはありませんが、その他にも、実験結果・レース結果・選挙結果など、
世の中の様々な「結果」の類も「現象」と同じ意味と思ってもらってかまいません。
フォーマットの例を参考に、トピックスをできるだけ抽出し、その中から斬新な切り口のテーマを見つけましょう!
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