2016年6月6日月曜日

【08】斬新な切り口の卒論テーマどう探す?#04

現象の「要素」「要因」「背景」から卒論の切り口を探すフォーマット

大喜利の定番お題「○○とかけて◇◇と解く、その心は□□□」という謎かけ。

その評価は「なるほど、そう来たか」と思わせる意外性。

面白いつながり、ユニークな関係性を披露できた人ほど座布団が増えて行きます。

実は、卒論の優劣にも似たところがあります。



例えば、リンゴが落ちる“現象”を見て「万有引力の法則」へつなげたニュートンのエピソード。

これをアイザック亭ニュートン師匠が語れば、「落ちるリンゴとかけて、地球を周る月と説く、

その心は、どちらも万有引力が働いております」となりそうです。



「リンゴが落ちた」という現象を⇒「月が地球を周る」という現象につなげたニュートンの説。

当時の人たちにすれば、二つの現象がつながっているなんて意外であり不思議なことです。

しかも、ニュートンは「リンゴが落ちたのではなく、地球が引っ張った」という驚くべき「万有引力の法則」論を展開した。

地動説が当たり前の時代、まさに、座布団千枚に値するくらいの自論を世に発したわけです。



もちろんニュートンは自然科学ですから、その立場・観点から「リンゴが落ちた」という現象を⇒「万有引力の法則」論へとつなげました。

ではニュートンが、もしリンゴ農家の立場・観点で論文を発表したらどうなったでしょう。

「リンゴが落ちた」という現象を⇒「収穫のタイミング見極めの法則」なんていう研究論につなげたかもしれません。



つまり論文とは、ある「現象(=リンゴが落ちた)」をそれぞれ異なる立場・観点・角度からとらえ、

比較し検証し、そこで得られた知見をまとめたもの。

そして、卒論の優劣は、初動の「現象の見立てと自論への展開」のユニークさ決まる。

というわけで大喜利の優劣によく似ているのです。



「現象」をどう見立て、どんな自論につなげたか、に対する応えが卒論のテーマ設定であり、切り口です。

卒論の優劣は、このテーマ設定の切り口の面白さ=斬新さに大きく依存しますから、

まずはどんな現象に着目するか。目を付けるかが問われます。



でも、現象といわれてもピンと来ない。多すぎてどこに着目すればいいのかわからない。

というあなた、まずは現象を二つに分けて考えてみましょう。

一つは、月が地球を周る、雲の形が変化するなどの「自然現象」。

もう一つは、アイドルやコスプレ目当ての外国人旅行者が増えたといった「社会現象」です。



基本的にはこの二種類に大別されますが、ちょっと話題になった変わり種の卒論もあります。

幽霊現象」に着目した卒論です。

もちろん、幽霊がいるいない論ではありません。

「幽霊現象」を切り口に、被災地やそこに生きる人たち、亡くなった人たちと、どう向き合っていくかを

社会学的な立場から取材・考察した論文です。

東北学院大の工藤優花さんによる「死者たちが通う街—タクシードライバーの幽霊現象」と題した卒論がそれ。

さらに「呼び覚まされる霊性の震災学」(金菱清ゼミナール編・新曜社)なる著書も出版され、話題になっています。



「幽霊現象」という斬新すぎる切り口はともかくとして、「自然現象」「社会現象」のどちらかを選んだら、

中からあなたが気になる個別の現象(異常気象とか地震とか)をいくつか拾い出します。

ただ、拾い出しすだけで漠然と眺めていても、なかなか良い切り口は見えてきません。

では、どうするか。ここからが切り口探しの本題です。



まずは、「現象」を分解・分類してみるのをお勧めします。

何事も「分ければわかる」「分けなきゃ見えない」からです。



では、どのように分けるのか。

ここでフォーマットの例題・事例を参照してください。

まずは、現象をもたらした「要素」「要因」「背景」の3つのカテゴリーごとに、

事実も推測、学説やうわさも含め、考えられる全てを一つひとつ列挙します。

その列挙した項目がフォーマットにあるトピックス」です。

(例題では「異常気象」の要素①~⑤、要因①~⑤、背景①~⑤の計15のトピックスを抽出)


考えられる限りのトピックスをフォーマットに書き出したら

次に「この線で行こう!」と思えるトピックスを選びます。つまり論じる切り口を絞り込む

さらにそれをどんな立場・観点・角度から、どんな結論に向かって論じるのかを明らかにする。

これでテーマ設定はほぼ完了です!


では、実際に卒論テーマの切り口を探すフォーマット」を使ってみましょう。

ちなみに、本フォーマットの例題では、自然現象として「異常気象」を、

社会現象として「ボカロ・アイドル初音ミクの大モテ現象」取り上げてみました。

ここの事例にはありませんが、その他にも、実験結果・レース結果・選挙結果など、

世の中の様々な「結果」の類も「現象」と同じ意味と思ってもらってかまいません。


フォーマットの例を参考に、トピックスをできるだけ抽出し、その中から斬新な切り口のテーマを見つけましょう!


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