2016年6月14日火曜日

【10】斬新な切り口の卒論テーマどう探す?#06

平凡な卒論テーマもアプローチ次第で切り口あざやかに!

これだ!と思える卒論の切り口がなかなか見つからないあなた。

もしかしたら、「研究対象を何にしようか」目線に囚われ過ぎているかも。

そんな時は、「研究対象にどうアプローチするか(したか)」目線に変えてみましょう。


よくありがちな研究テーマでも、

アプローチの仕方次第で斬新な切り口に変えることができるからです。

熟した木の実だけ食べるを「騙す」ことはできるか?
もしそんな生態実験的アプローチがあったら興味を惹かれませんか?
<青い実を食紅で着色して騙す><赤く熟した実に青臭い香りを振りかけて騙す>…といった。
論文のテーマが平凡でもアプローチ次第。その印象はガラリ変わってしまうものです♪




例えばー、

「貧困と差別」という、ありきたりで大きなテーマを仮に選んだとします。

それに関する文献・データは山ほど集まるでしょう。

しかし、それをまとめても、掴みどころのない資料集のような論文になりがち。

切り口が不鮮明だからです。



そこで、同じテーマでもアプローチの仕方を工夫してみる。

例えば、ホームレスに扮して研究のための調査をする。

ホームレスの人たちと一緒に暮らし、話を聞いたり、行動を観察したり、

ホームレスを装って道行く人の反応(差別や施し)を実体験したりー。

ちょっと極端な例ですが、そんなフィールドワークをすれば斬新な卒論として評価されるはず。

切り口が鮮やかになるからです。



さらに、アプローチそのものを論文の主題にしてしまうという手もあります。

例えば、「騙す」というアプローチを様々な研究課題に採り入れてみる。

テレビ番組に『モニタリング』という、人を騙して反応を観る番組があって人気のようですが、

それに近い感覚のアプローチですね。

「騙す」アプローチとしては……

>鳥と果実(上の写真)の例では、鳥を「騙す」。

>ホームレスに扮して世間の反応を観るのは、通行人を「騙す」こと。

>また、音響効果や視覚的作用を使って人の感覚を「騙す」実験をやってみる。

などがあります。

そうした「騙す」調査「騙す」実験など、様々な「騙す」アプローチで、人間や動物の生態を観察する。

そんな切り口の卒論テーマがあってもいいわけです。



アプローチには、調査する、実験する、統計をとる、などがありますが、

そうしたアプローチの仕方に工夫を凝らせば、平凡なテーマもかなり面白く斬新になります。

「研究対象を何に」という目線から、、どんなアプローチ手法で調査・実験するか」へと目線を替える。

そうすれば、探し求めていた切り口あざやかな卒論テーマが見つかるかもしれません。お試しあれ!


2016年6月9日木曜日

【09】斬新な切り口の卒論テーマどう探す?#05

続いて、テーマ設定のコツ5番目は―、

何かと何かを

「比べる(併記・照らし合わせ)」実験・研究に焦点を当て、テーマを絞り込めないか?」です。


比べるのは、「男と女」だったり、

「右脳と左脳」だったり。

あるいは、何かを起点に、

その「前と後」とか。「高い時と低い時」とか。



もちろん、卒論のフィールドにより、

>社会的な比較ネタ
>科(化)学的な比較ネタ
>芸術的な比較ネタ

などに分かれるのでしょうが、

比較それ自体をテーマにするのは、どの領域でも可能なはずですし、

そもそも、研究・実験とは比較検討することがその本質といってもいいでしょう。

では、どのような「比べる」方法や対象があるのか以下参考までに―。


社会的比較ネタなら―、

>ある社会的な出来事が起きる前と後で、何がどう違ってきたか

>ある技術の登場により、人の意識や行動、生活環境や労働環境がどう変化したか


科学的比較ネタなら―、

>エルニーニョ現象とラニーニャ現象では何が違い、その影響が何にどう現れるのか

>A環境とB環境において、ある同一植物の生育状況を観察したらどんな差が出たか


芸術的比較ネタなら―、

>東洋と西洋の音楽の起源や成り立ちはどう違ったか

>芸術が宗教によってどう違い、どんな共通点がみられるのか(意味、意義、様式など)

>日本の風景画(浮世絵)と西洋の風景画の考え方や美意識の違いは何か



ざっと思いつくままに羅列してみましたが、ヒントはつかめそうですか?

「比べる」ということは、「違い」や「変化」だけでなく、その逆の「類似性」や「普遍性」も含みます。

そんな「比べる」という切り口でのテーマ設定には、次のような自問をしてみましょう。


>何が、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように、どれくらい × 違ったか

>何が、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように、どれくらい × 変わったか


>何が、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように、どれくらい × 似ているのか


>何が、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように、どれくらい × 普遍的だったのか


>何が、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように、どれくらい × 差が出たのか











2016年6月6日月曜日

【08】斬新な切り口の卒論テーマどう探す?#04

現象の「要素」「要因」「背景」から卒論の切り口を探すフォーマット

大喜利の定番お題「○○とかけて◇◇と解く、その心は□□□」という謎かけ。

その評価は「なるほど、そう来たか」と思わせる意外性。

面白いつながり、ユニークな関係性を披露できた人ほど座布団が増えて行きます。

実は、卒論の優劣にも似たところがあります。



例えば、リンゴが落ちる“現象”を見て「万有引力の法則」へつなげたニュートンのエピソード。

これをアイザック亭ニュートン師匠が語れば、「落ちるリンゴとかけて、地球を周る月と説く、

その心は、どちらも万有引力が働いております」となりそうです。



「リンゴが落ちた」という現象を⇒「月が地球を周る」という現象につなげたニュートンの説。

当時の人たちにすれば、二つの現象がつながっているなんて意外であり不思議なことです。

しかも、ニュートンは「リンゴが落ちたのではなく、地球が引っ張った」という驚くべき「万有引力の法則」論を展開した。

地動説が当たり前の時代、まさに、座布団千枚に値するくらいの自論を世に発したわけです。



もちろんニュートンは自然科学ですから、その立場・観点から「リンゴが落ちた」という現象を⇒「万有引力の法則」論へとつなげました。

ではニュートンが、もしリンゴ農家の立場・観点で論文を発表したらどうなったでしょう。

「リンゴが落ちた」という現象を⇒「収穫のタイミング見極めの法則」なんていう研究論につなげたかもしれません。



つまり論文とは、ある「現象(=リンゴが落ちた)」をそれぞれ異なる立場・観点・角度からとらえ、

比較し検証し、そこで得られた知見をまとめたもの。

そして、卒論の優劣は、初動の「現象の見立てと自論への展開」のユニークさ決まる。

というわけで大喜利の優劣によく似ているのです。



「現象」をどう見立て、どんな自論につなげたか、に対する応えが卒論のテーマ設定であり、切り口です。

卒論の優劣は、このテーマ設定の切り口の面白さ=斬新さに大きく依存しますから、

まずはどんな現象に着目するか。目を付けるかが問われます。



でも、現象といわれてもピンと来ない。多すぎてどこに着目すればいいのかわからない。

というあなた、まずは現象を二つに分けて考えてみましょう。

一つは、月が地球を周る、雲の形が変化するなどの「自然現象」。

もう一つは、アイドルやコスプレ目当ての外国人旅行者が増えたといった「社会現象」です。



基本的にはこの二種類に大別されますが、ちょっと話題になった変わり種の卒論もあります。

幽霊現象」に着目した卒論です。

もちろん、幽霊がいるいない論ではありません。

「幽霊現象」を切り口に、被災地やそこに生きる人たち、亡くなった人たちと、どう向き合っていくかを

社会学的な立場から取材・考察した論文です。

東北学院大の工藤優花さんによる「死者たちが通う街—タクシードライバーの幽霊現象」と題した卒論がそれ。

さらに「呼び覚まされる霊性の震災学」(金菱清ゼミナール編・新曜社)なる著書も出版され、話題になっています。



「幽霊現象」という斬新すぎる切り口はともかくとして、「自然現象」「社会現象」のどちらかを選んだら、

中からあなたが気になる個別の現象(異常気象とか地震とか)をいくつか拾い出します。

ただ、拾い出しすだけで漠然と眺めていても、なかなか良い切り口は見えてきません。

では、どうするか。ここからが切り口探しの本題です。



まずは、「現象」を分解・分類してみるのをお勧めします。

何事も「分ければわかる」「分けなきゃ見えない」からです。



では、どのように分けるのか。

ここでフォーマットの例題・事例を参照してください。

まずは、現象をもたらした「要素」「要因」「背景」の3つのカテゴリーごとに、

事実も推測、学説やうわさも含め、考えられる全てを一つひとつ列挙します。

その列挙した項目がフォーマットにあるトピックス」です。

(例題では「異常気象」の要素①~⑤、要因①~⑤、背景①~⑤の計15のトピックスを抽出)


考えられる限りのトピックスをフォーマットに書き出したら

次に「この線で行こう!」と思えるトピックスを選びます。つまり論じる切り口を絞り込む

さらにそれをどんな立場・観点・角度から、どんな結論に向かって論じるのかを明らかにする。

これでテーマ設定はほぼ完了です!


では、実際に卒論テーマの切り口を探すフォーマット」を使ってみましょう。

ちなみに、本フォーマットの例題では、自然現象として「異常気象」を、

社会現象として「ボカロ・アイドル初音ミクの大モテ現象」取り上げてみました。

ここの事例にはありませんが、その他にも、実験結果・レース結果・選挙結果など、

世の中の様々な「結果」の類も「現象」と同じ意味と思ってもらってかまいません。


フォーマットの例を参考に、トピックスをできるだけ抽出し、その中から斬新な切り口のテーマを見つけましょう!


2016年6月1日水曜日

【07】斬新な切り口の卒論テーマどう探す?#03


次なる卒論テーマ設定のコツは、

「異質・特殊・マニアック」な狭い世界に目を向け、そこから切り口を探ろうというお話。

略して、「狭い世界に切り口発見!フォーマット」です。


しかし、なぜ異質・特殊・マニアックな狭い世界にわざわざ目を向けるのか。

理由は3つ。

狭い世界には、世の中の変化の「兆し」がある

狭い世界には、世の中の「縮図」がある

③狭い世界から世の中を眺めると違った「景色」みえる

からです。

秋葉原や原宿や中野といった狭い世界で起こった局所的トレンドは、政治や経済にも影響する「兆し」でした。

その小さな「兆し」が、国を挙げてのビジットジャパン活動につながり、

来日外国人の急増につながり、爆買いにつながり、

ゆくゆくは、人口減少に歯止めをかけたり、

介護などの人手不足を解消したり、

空き家問題を解決することにつながって行くかもしれません。

狭い世界で起きた「兆し」が、プラス・マイナス両面あわせ広い世間に波及していくわけです。


思ってもみなかった方向性やアイデアを発見できる方程式とは―
あなたの卒論テーマが今は漠然としていても、それを「狭い世界」に関連付ける。こじつけてみる。

いわゆる「言葉の掛け算」をする。

そうすることで、思ってもみなかった方向性やアイデアを発見できる可能性は高まります。


狭い世界に注目することで兆し・縮図・景色」が見えてくるからです。




「狭い世界 × 広い(漠然)テーマ=斬新な卒論テーマ」という発想を引き出す方程式。


では、この方程式を実際どのように使えばいいのか。

その具体例を次に見ていきましょう。


異質・特殊・マニアックな世界をカテゴリー分けする


斬新な切り口発見のアプローチとしては、まずは「狭い世界」を分類することから始めます。

なぜなら、「狭い世界」といってもかなり広いからです。

そこで、「狭い世界」を次(A~Ⅰ)のようなカテゴリーに分類してみました。

この他にもあなたの思いつく分類があれば、ここに追記してください。

▼「狭い世界」のカテゴリー分類            
(A)マニアックなトレンド
(B)マニアックな市場
(C)異質な社会・時代
(D)異質な集団・組織
(E)異質な文化・風習
(F)特殊な環境・風土
(G)特殊な技術
(H)特殊な産業・業界
(Ⅰ)特殊な学問・研究
     ・
     ・
     ・

といった分類に沿って、実際にやってみましょう。

前章に引き続き、「音楽」という漠然と広いテーマに、カテゴリーA~Iを掛け合わせたなら、

どのようなな切り口のテーマ設定が浮かぶでしょうか?あなたもトライしてみましょう!


▼マニアックなトレンド×音楽=卒論テーマ
>刀剣女子×音楽ゲームが起爆剤になった女子刀剣愛好ブームから音楽流行のメカニズムを探る

▼マニアックな市場×音楽=卒論テーマ
>古地図市場×音楽=???
>フィギア市場×音楽楽曲制作ソフトがなぜ業界とマニアの垣根を超えられたのか~ボーダレス社会のオタク消費の動向

▼異質な社会・時代×音楽=卒論テーマ
>貴族社会×音楽=ファンとサポーターの違いは?現代版パトロン制度の復活なるか?
>ファシズム台頭時代×音楽=???

▼異質な集団・組織×音楽=卒論テーマ
>ハッカー集団×音楽=テロ防止策としてのハッキング手法と音楽効能の活用法
>カルト教団×音楽=???

▼異質な文化・風習×音楽=卒論テーマ
>少数民族の風習・儀式×音楽=???
>往年のヒッピー文化×音楽=歌は世につれ世は歌につれ現象の歴史的考察

▼特殊な技術×音楽=卒論テーマ
>GPS・自動運転技術×音楽=位置情報等によるレコメンデーション選曲&配信の可能性
>刀鍛冶の技術×音楽=???
>水産物の養殖技術×音楽=???

▼特殊な産業・業界×音楽=卒論テーマ
>仏教界×音楽=???
>介護サービス業×音楽=???

▼特殊な学問・研究×音楽=卒論テーマ
>考古学×音楽=???
>人工知能(AI)研究×音楽=AI技術はボカロPの感性を超えるか~クリエイティブの未来図
>鳥類生態研究×音楽=???